NyasPaper

ストレス社会を闘うあなたに猫を。

【コンサルタントの倫理を死守せよ!~なぜ、仕事のないコンサルティングをやり続けるのか?】

      2016/08/13

あにゃまる紙芝居も5回目を迎え、かなり慣れてきたとはいうものの、今回だけは、さすがのあにゃまるも逡巡していた。

というもの、今回のターゲットである田添忠彦のやっている仕事、経営コンサルティングのことが全く分からないのだ。一体どんなふうに何をするのか、イメージすらつかめない。

そんな思いを胸に、2月のとある日曜、あにゃまるはネットでのテキストインタビューに踏み込んでいった。

1.「幼少期」のことなどを、切り出してみる、、、、

既に博多オフで面識のある田添が、九州出身であることは知っていた。

しかし、弱冠二十歳の自分が過ごした現代から遡ること遥か昔の九州は、まるで別世界。

なんでもその幼少期、高度成長期の真っただ中の九州には炭鉱がたくさんあり、石炭採掘のゴミとして排出された「ボタ」が町中にうず高く積み上げられ、沢山のボタ山を作っていたらしい。

あにゃ:「幼少期はどんな少年だったのですか?」
:「野生児だね。野山を駆け巡ってた。幼少期を過ごした小倉とか、山だらけだから。自然なら、なんでもあったよ。蝉取り、ザリガニ釣り、オタマジャクシ取り、洞窟探検、造成地の赤土山登り、、、色々やって遊んだね。」

あにゃ:「ほかには、どんなことを?」

:「女子とも、よくあそんだね・笑。お医者さんごっこはしないけど。隣に住んでたゆみちゃんとか仲良しだったな」

やはり、なんだかイメージがわかない。

セレブ学生の自分とは、どうやら無縁の世界のようだ、、、

t-9

2.よくわからないので、いきなり青年期へ話を飛ばす

あにゃ:「それから青年時代はどんなことを?」
:「スポーツだね。小学校は、水泳とか。中学は野球。高校は柔道をやった。ランニングは、中年になってからね。でも、一時期小児ぜんそくだったから、身体はあまり強くなかった。でも、運動神経はいいほうだったかな。特に、中学の時は、野球してたせいもあって足速かったね。」

あにゃ:「野球は、大会などにも?」

:「出たよ。名古屋市大会で3位にもなったし、ソフトバンクの工藤投手とも、対戦したしね。同い年なんだよ。試合は、負けた(笑。そのころから、工藤は本格派投手として、有名だったんだよ。」

あにゃ:「田添さんは、その後京都の某私大に進学されますね?」

:「うん、授業料安かったからね。たしか、入学金が10万で、学費は30万くらい。安いでしょう? 今と物価水準、ほとんど一緒だからね!80年代は。つまり、現代は、教育費だけが値上がりしてるんだな。」
あにゃ:「京都に何か思いがあったのでは?」
:「多少あったよ。街としては好きだったね。下宿していた右京区のあたりは、特に環境がよかったね。でも、大学時代は非リアだよ。あにゃまるとちがって。」
あにゃ:「はい、僕の周りには、かわいいリケジョがいっぱいいます!」
:「もっとも、文学部なので、周りに女子は多かったが。デートもしたことはあるけど、、、みんな地味だったぞ・笑。だいたい、ジーパンとTシャツだね。当時は」
あにゃ:「え!女子のスタイルが?」
:「そうそう。まあ英文科あたりには、ちょっとキラキラ系もいた。ワンルームマンションに住んで
CDプレーヤーとか、持ってたな。お嬢さんは。」
あにゃ:「ゲットしましたか?」
:「いや、非リアだから・笑。あにゃまるとちがって。ていうか、質問がちょっと露骨だぞ!」
あにゃ:「すみません、、、。文学部ではどのようなことを、学ばれたのですか?」
:「哲学科だよ。西洋哲学。でも、大したこと勉強してないよ・笑。言っとくけど。授業も、あまり出てないし」

う~ん、大分雰囲気がつかめてきたぞ!

要するに、女子なんだな。そこから、攻めていこう。

t-10

3.贈与の一撃


あにゃ:「遊びまくっていたんですか?笑」
:「まあ、遊ぶ金もないので、バイトとかしてたね。個人経営の喫茶店で。塾の講師もした。あとは、サークル活動だね。」
あにゃ:「サークルは何でしょう?」
:「サークルは、秘密だよ・笑。あ、文学サークルにも入ってたな。小説とか、詩書くやつね。バイトの喫茶店は、役立ったよ。まず、ウエイトレスの女子高生と二人きりなのがよかったね・笑。それに、暇だから、ずっと、しゃべってた。だから、女子高生の京都弁が、得意になったよ。いまでも、少ししゃべれる。

それと、暇なので、仕事が翌日の仕込み中心なんだよ。例えば、野菜を切ったりとか。毎日、2時間くらいは、キャベツをコーススローに刻んだり、ピーマン、玉ねぎを切ったり、それでカレー作ったりしてた。だから、包丁さばきがものすごく上達したよ。今でも、料理が苦にならないね。実際には、ほとんどやらないけど・笑。セレブ学生のあにゃまるは、バイトしないから、わからないだろう?(笑」
あにゃ:「分からないです笑」
:「料理できたほうが、やや女子に受け入れられやすいぞ! はははは。もちろん、本人次第だが、、、。二人で、部屋でカレー作ったりとかできるし。冬は、こたつで鍋したりとかね。鍋のあとは、サイフォンで、コーヒーたてたりとか。

でさあ、最初に、こっちが料理を作ってご馳走しておくと、(その後の付き合いでは)向こうがずっと作ってくれたりするよ。これ、文化人類学で、なんて言うか、知ってる?」

あにゃ:「いえ、分からないです笑」
:「『贈与の一撃』だよ!後で分かったけど、仕事にも同じようなところがあるね。コンサルティングでも。
最初に、思い切り与える!しかも、過剰に! そうすると、返ってくることがだんだん多くなる。仕事ができる人は、みんなこれをやってるよね。もちろん、与える相手を間違ってはダメだが・笑」
あにゃ:「その見極めはどうするんですか?」
:「そんなもん、勘だよ!あにゃまるも、そうだろ?」
あにゃ:「そうかもしれないです笑」
:「一目あったときに、うまくいかなそうな相手は、生理的に受け付けないだろ?あにゃまるなんか、特にそうだろ?」
あにゃ:「はい、僕はそれが激しすぎたせいで友達がいなくなりました・笑」
:「え、そうなのか。なんか、いきなり深刻だな・笑。でも、いいんだよ、それで。生理的に受け付けないものは、仕方ない。」
あにゃ:「えっと、女性の話ですか?」
:「いや、仕事の話だよ!

ただ、最近取引先に、女性が多いね。どんどん増えてる。人事部長とかにも、結構いるね。」
あにゃ:「女性の社会進出ですか?」
:「まあ、よく言えば、そうだな。でも、クライアント企業でそれなりの地位にある人は、やはり尊敬できる人が多いね。実務家は、単なる「意識高い系」とはちがう・笑」
あにゃ:「では、田添さんのビジネスモデルは、大学時代の女性との出会いに原点があるというまとめでいいですか?」
:「いや、女性というわけではないけど、人の世には、共通の原理のようなものは、やはりあるように思えるね。」
(やっぱり、カギは女子だな)。あにゃまるは、ひそかにほくそ笑んだ。

t-1

4.夢に見る思い出


あにゃ:「大学時代の1番強い思い出は、サークルやバイトですか?」
:「一番(笑、それは、むずかしいね。いろいろあるので。でも、そのひとつひとつが、今の、人間観、世界観につながってるよね。ほんのちょっとしたことも含めて。

例えば、ぜんぜん関係ないんだけど、卒業後、今でも、何度も夢で見ることがあるんだよ。なんだと思う?

あにゃ:「やっぱり、女性関係ですかね?笑」
:「あにゃまる、君の関心はそこにしかないのか?

ぜんぜんちがう。ドイツ語の授業なんだよ・笑。
ほとんど授業に出てなくてさ。4年の時まで、単位を落としてたのがあって。それでも、まだ授業に出てなくて、ほんとにまずいから、秋ごろになって、初めて授業に行ったんだよ。
そしたらさ、教授になんて言われたと思う?」

あにゃ:「お前なんか、もう来るな!とかですかね?」
:「まあ、普通はそうだよな。ところがさ、『田添君は、もう就職決まりましたか?』と、とても優しい口調で訊かれたんだよ。

とっさに、就職なんて決まってなかったのに、「ハイ、おかげさまで」って、答えたよ・笑。

いや~、非常に優しい先生だったんだな。しかもさ、そういう調子だから、テストもぜんぜんだめだったのに、奇跡的に、単位を貰えたんだよ!」
あにゃ:「その先生、神ですね!笑」
田:「そう!!もう、あの先生には、一生足を向けて、寝られないよ!

本来2年で取得すべき単位だからね。なかには、親が頼みに行っても、単位出さない教授も多かったから!
で、それをいまだに、夢に見るわけ。つまり、ドイツ語の単位を落とした夢を。
まあ、そんなことが、いろいろあるね。ちょっとしたことだけど、そういうことは、よく憶えてる。」
(なんだか女子の話から離れつつあるが、とりあえずいいか)と、あにゃまるは気を取り直すのだった。

t-3

5.就 職


その後紆余曲折を経て、田添は、千葉県にある一部上場の電子部品メーカーに就職する。配属先は人事部だった。この人事部への勤務が、彼のその後の人生を大きく左右することになった。
あにゃ:「一部上場企業への就職って、大変なんでしょうね?」
:「いや、一部上場メーカーなんて、たくさんあるからね。東京に本社がないところは、比較的就職しやすいと思うよ。理科系で専門性あふれるあにゃまるなんて、簡単だろう?」
あにゃ:「いえ、それほどでも・笑。でも、なぜその企業を選んだのですか?」
:「メーカーだからだよ。仕事がきちんとしてるし。そういうの、大事だと思ったから。それに、世界的メーカーで、自社固有の技術を持ってた。まあ、日本メーカーらしいメーカーだね。」
あにゃ:「それで就職した会社での生活はどうでしたか?」
:「退屈だった・笑。死ぬかと思った。毎日、同じ事務所の同じ机に出勤して、同じ仕事だから。脳が破壊されそうだったよ。配属先は人事部で、みんな、いい人ばかりだったが。」
あにゃ:「人事部で、なんの仕事を?」
:「給与計算、労働組合対応、海外駐在員人事、とかだね。とにかく、どれも退屈なんだよ。おまけに、給与計算は例外処理が多くて、計算合ってても別に褒められもしないけど、間違ったら怒られるだけじゃなくて大変なことになるという、ほんと間尺に合わない仕事だったよ・笑。」
あにゃ:「その退屈な仕事は何年間くらい続いたんです?」
:「30までだね。でも、いろいろ勉強になったよ。それに、今のコンサルティングの仕事にも生きてるよ。

純粋培養の(新卒採用の)コンサルタントは、企業の実務を知らないからね。知識としては知ってても、体感で分かってない。つまり、それがどんなに退屈か・笑。ところが、俺は知ってる。そこが、強みだよ。

実務とその知識は経験しないと身につかないのは当然なんだが、それをやる人の気持ちは、絶対に経験しないと分からないからね。ところが、組織というのは、つまるところ、人の気持ち(感情)の集合体なんだよね。

そこが純粋培養のコンサルタントには、分かりにくいところだよ。」
あにゃ:「でも、例によって、楽しいこともあったのでは?・笑」
:「そういえば、かわいい女子社員、いっぱいいたな。地元採用の。特に人事部には、顔も頭もいい子が集まってた・笑。
なにせ、採用も、配置も、人事部長の権限だからね!」
あにゃ:「ナルホド!田添さんは人事部長だったんですか?」
:「お前は、アホか!人事部長は50代だよ。日本企業は、年功序列なんだぞ!

要するに、人事部長が、新入社員の採用も配置も好きにできるという話だよ。だから、まあ、かわい娘を、自分のところに持ってくるよな、ふつうは。あにゃまる、世の中、そんなもんだよ!
いいだろ?人事部」
あにゃ:「いいですねぇ笑」
:「あにゃまるは、理系だから、現場に配置されるので、そういう美味しいことは、ないな(笑。もっとも、昔とちがって、リケジョが増えてるのが救いだな!まあ、せいぜい今のうちに、チャンスをものにしておいてくれ」

あにゃ:「そのかわいい女子の園を、なんでまた、30で退職されたんですか?」
:「さっき言っただろう(笑。退屈だったって。死にそうなくらい」
あにゃまるには、そんなおいしい仕事を辞める理由が、まったく理解できなかった。

t-2


6.コンサルティング会社へ


30
歳にして、田添は、それまでとは180度異なる経営コンサルティングの仕事に転じた。

それは、ほとんどゼロからの出発ではあったが、元々企画提案的な仕事が好きだったこともあり、チャレンジングな日々が始まったのだった。

あにゃ:「コンサルティングにも、色々分野があるんですか?」
:「あるよ。分野もあるし、ポジションもある。どちらかというと、キャリアとしては、後者が重要だな。要するに、人を使うか、使われるかということ。」
あにゃ:「課長とか、ですか?」
:「まあ、「とか」だな。あまり、適切な例ではないが。

もっとも、最初はもちろん下っ端だったよ。コンサルティング経験まったくないし。」
あにゃ:「どんな方が、お客さんなんですか?」
:「いや、「方」というか、クライアントは、全部企業だよ。経営コンサルティングだから。企業じゃないと、コンサルティングみたいな高いサービスに払う金持ってないだろ?
それ以外でコンサルティングって言ってるのは、全部いかさまだな・笑。
○○コンサルタント」とか、全部嘘だね。
つまり、そういうのは、コンサルティングそのものからは、付加価値を生み出していない。何らかのモノの販売や役務の提供で対価を得てるわけだね。
それに対して経営コンサルティングは、提供するのは、とにかく提案と助言だけだからね。モノとかは、原則一切扱わない。なので、仕入れもなければ、原価もないわけだね。だから、売上は全部粗利になる。」
あにゃ:「田添さんは、最初から経営に精通していたんですか?」

:「いや、コンサルティングは、まったくの素人だよ。その会社の社長から、みっちり教えてもらったわけだね。まさに、師匠だよ」
あにゃ:「ナルホド。マニュアルとかあるんですかね?」
:「ないね。なにもない。口伝だよ・笑。外資系とかにはある程度あるが、まああんなものは役に立たないね。」

あにゃ:「どんなことを、教わったんですか?」
:「一にも二にも、コンサルタントとしての倫理だね。それを、ことあるごとにうるさく言われた。コンサルタントが、いかに生きるべきか!身だしなみ、言葉遣い、立ち居振る舞い、マナー、すべて。そして、思考だ。
要するに、経営者に寄り添い、経営者の立場、経営者の気持ちになって、思考するということ。それを、仕事のあらゆる局面に徹底するということだね。
最近、NPにアップされてた、エステー化学会長のインタビュー記事、読んだ?まさに、あれだよ!」
あにゃ:「あ、読んでいません・汗」
https://newspicks.com/news/1396247?ref=user_713126

あにゃ:「では、経営者の気持ちになっていろいろ提案してたということですか?」
:「まあ、一応そうだが、そんな簡単ではないぞ・笑。日々これ、修行だよ。それに、時代もどんどん変わるしね。」
あにゃ:「その会社には、何年在籍を?」

:「8年だね。その後、大手コンサルティング会社に転職した」
あにゃ:「なんだか、長いような、短いような、、、、」

:「そうだな。一般的には短いけど、かなり濃密な日々だった。それに、体力的にも、精神的にもきつかった。後半は、取締役という立場もあったので。」

あにゃ:「え、そうなんですか?」
:「自然と求められるものが多かったな。日常的な契約先のコンサルティングを510社と担当する一方で、多くの新規先に契約獲得のための提案営業活動も、同時並行でやらなくてはいけない。」

あにゃ:「それは、かなり大変なことなんでしょうか?」

:「そうだね。はっきり言って、死ぬ思いだったよ・笑。もちろん、休みはほとんどない。30代中頃には、一度身体を壊しかけたこともあった。胃潰瘍になりかけたんだな。ある日、胃がものすごく痛くて、それでも仕事が山ほどたまって帰れなくて、事務所でちょっと横になっては、仕事をつづけたこともあった。あの頃が最高にきつかった。

だけど、人間そんな状態は、何年も続けられるものではない。やがて、精神的な集中力が切れた状態になって、これは、もうだめだなと思ったね。」

(なんだか、ずいぶんと深刻な話になってきてしまった)と、あにゃまるは、思った。

t-5

7.大手コンサルティング会社転職後の変化


あにゃ:「転職されたコンサルティング会社は、どんな会社ですか?」
:「NTTデータ経営研究所っていう会社。今は、大手町に本社がある、システム開発会社のNTTデータの子会社だね。」
あにゃ:「仕事内容は、変わりましたか?」
:「コンサルティングであることは同じなんだけど、案件がだいぶ変わったね。クライアントに、大企業が多くなった。
例えばさ、秘密だけど、エネルギー系企業T社とか、チェーンストア大手のM社とか、システム開発大手のN社とか、、、」
あにゃ:「名だたる大企業ですねぇ。」
:「これ、俺が開拓したんだよ。」
あにゃ:「へ~、ということは、これら企業が大きくなったのは田添さんのコンサルのお陰ですか?」
:「そうだよ・笑。少なくとも、部分的にはね。もっとも、T社には、その後大きな不幸が訪れるが。東日本大震災という。しかし、あの不幸も、俺のアドバイスをもっときちんと聞いておけば、あんなに大きなことにはならずに、済んだかもしれない。」
あにゃ:「具体的にどんなアドバイスをされていたんですか?」
:「広い意味での、組織の改革だね。そのころから、あの会社には、いろいろ弊害が顕著だったんだよ。例えば、その当時から、メンタル疾患での休職者が多かった。会社が進めていた色々な経営施策(組織体制の変更とか)が、現場の人材を圧迫していたんだな。その結果、現場社員のモチベーションが極端に落ちていた。つまり、現場が疲弊していたわけだ。そんな組織で、いい仕事、新しいビジネスができるわけはない。なので、「それをこうやったら治せますよ」と言ったんだが、結果的には、その新しい提言は受け入れられなかったんだな。あの会社の幹部には。」
あにゃ:「笑笑」
:「いや、笑い事じゃないぞ!そのために、多くの人命が失われることにもなった。
でもまあ、とにかく、コンサルティング案件というのは、そんな感じで開拓していくわけだな。それはもう、血の滲む苦労だぞ・笑。」
あにゃ:「以前のコンサル会社でかなり腕を上げられたのですね!」
:「どうだろうな。腕は、結局結果なので。受注できなければ、それまでのことよ」
あにゃ:「その会社への転職は、ヘッドハンティングですか?」
:「ちがう。エージェントから紹介されたんだよ。NTTデータと、野村総研を。でも、野村にしたほうが、よかったかも・笑」
あにゃ:「それはまたどうして?笑」
:「新卒採用中心で、組織が安定してる。ビジネスも。最大手だからね。」
あにゃ:「では、なぜNTTデータに?」
:「小さいからだよ・笑。比較的、野村より。好きにできるだろう、小さいほうが。といっても、社員は300人くらいいたかな。これ以上のコンサルティング会社は、あまりない。コンサルティング専業だから。野村はさらに大きいが、コンサルティング部門は400人くらいで、IT部門が遥かに大きかったね。」

(ぜんぜん、話が、思う方向につながっていかないな・汗)、あにゃまるは、秘かに焦りを募らせた。

t-4

8.コンサルティング案件の受注


あにゃ:「で、大企業のコンサルティングは、死ぬような思いだったんですね?」
:「死ぬ思いは、受注ね!何度も言うけど。受注に比べれば、受注後の仕事、つまりコンサルティング自体は、そうでもないよ。いろいろ難しいところはあるが、一応契約上決まったことを着々と進める仕事だからね。」
あにゃ:「受注はどんな風に大変なんですか?」
:「あにゃまる、できるか?コンサル案件の受注。契約とるんだぞ!相手のポケットに手を突っ込んで、金を引き出す。しかも、100万や200万じゃないよ・笑! ものを売るわけでもないし。相手は、大企業の頭のいい、意識高い系の連中だぞ・笑」
あにゃ:「それは、、大変だと理解しました笑」
:「まあ、例えると、太平洋でマグロを探すようなものだね。あにゃまる、なんでクジラは、あんなにデカいか知ってるか?」

あにゃ:「なんででしょう」

:「小さくて、海の中に沢山いる生き物を餌にしているからだよ。つまり、オキアミだな。

 なんでも、オキアミというのは、海に存在する生物の全重量の9割くらいを占めているらしい。シロナガスクジラとか何十メートルもあるけど、あれを餌にしてるから、身体を維持できるわけだな。

つまり、小さいものを餌にしたほうが、でかくなれる。ビジネスも同じなんだよ!」

あにゃ:「ナルホド!」

:「というわけで、コンサルティングはでかい餌狙いのビジネスなので、とにかく仕事がないんだよ。単価が高すぎて。需要はあるんだが。しかも、需要の中身が、企業によって個々に違うんだな。それを見極めて開拓するのがむずかしい。
例えばさ、企業で社員がやる気をなくしてるとする。その対策として、どんなことが考えられる?」
あにゃ:「環境とか、給料とかでしょうか?」
:「そう、そういうことがあるよね、例えば。で、その企業が、どうすればあにゃまるのところに、相談に来る?」
あにゃ:「僕の実績とかでしょうか?笑」
:「そういうこともあるな。では、どうやって実績をアピールする?」
あにゃ:「売り込みに行くとかですかね?」
:「それでもいいけど、たぶんその方法では、ほぼ100%売れない。」
あにゃ:「なんでですか?」
:「信頼がないから。パートナーとして、専門家としての」
あにゃ:「ではどうすれば良いのでしょうか?」
:「マーケティングだね。コンサルティングにふさわしいマーケティング。
例えば、さっきのエネルギー系企業の例では、専門誌に書いたレポートを、そこの人事部長が読んでくれたのがきっかけ。」

あにゃ:「なるほど。偶然なんですね」
:「偶然とも言えるが、もちろん狙ってるんだよ。そもそも、専門誌にレポート書かせてもらうの、難しいよ。まず、専門誌へのマーケティングが必要になる。しかも、大企業が関心を持って、信頼してくれるような実績が織り込まれた、わかりやすいレポートじゃないと意味ない。そこで、読んでもらってはじめて、とっかかりができるわけだね。わかるかな?」
あにゃ:「難しいんですねぇ」
:「まだ、とっかかりね。そこから、いろいろ話して、相手のニーズを把握して、提案企画書作り、営業折衝して、更に、こちらの社内プロジェクト体制を整えて、やっと、受注になるわけだ。
でも、このケースは、まだ楽なほうだよ。」

あにゃ:「そうなんですか?」
:「コンペになる案件も多いので。つまり、クライアント側がいくつかのコンサルティング会社に提案依頼(※RFP)をして、比較するわけだね。そうなると、非常にややこしいことになる。価格もぎりぎりまで下げないといけないし。だから、できるだけコンペを回避して、自分たちだけに引き合いが来るようにしたい。それが、マーケティングなんだよ!」
あにゃ:「その手段の1つに、レポートの専門誌掲載などがあるのですね。」
:「そう、ひとつね。他には、セミナー開催だね。有力なのは。昔は、ネットでのマーケティングも有効だったけど、今はだめだね。ネット上の情報が、あまりにも溢れてるから。大量の情報は、無情報と一緒なんだな。つまり、無価値。
ところが、セミナーに集客するのが、また難しい。これも、現代では、無料セミナーがあふれているので。
とにかくさ、世の中はデフレなので、供給サイドが異様に増大してるんだよ。わかるかな?」
あにゃ:「ええ、なんとなく・汗」

:「つい先日のバス事故見てもわかるように、供給側が膨張してるから、異常に価格を安くしないと売れないし、そのため、品質も落とさないと経営を維持できなくなる。現代は、そういう社会なんだよ。だから、コンサルティングの仕事なんて、基本ないわけ・笑
そこを、いかに生き抜くか!とても、スリリングな毎日だよ・笑」
あにゃ:「そんな中、その会社で生き抜き続けたわけですね!そこでは何年間くらいお仕事されてたんですか?」
:「丸5年だね。このコンサルティング会社の場合は、グループの親会社からかなり受注できたから、それだけで、相当数の社員を養えるアドバンテッジがあった。その中で、一部の俺たちみたいな少数のコンサルタントが、アウェイでも稼いでたわけなんだよ。」
あにゃ:「なかなか厳しい世界ですねぇ」
:「厳しいというか、基本仕事がないからね・笑。コンサルティングは。
ところで、三浦じゅんさんの特集記事、見た?」
あにゃ:「読んでないです・汗」
:「また、読んでないのか・笑、あにゃまる、情報収集が弱いな!
あれ読むとわかるけど、「仕事がないところに、仕事を作る」っていうことが書いてある。あれと、まさに同じだね、コンサルティングは。というわけで、読んどけよ、あれ、笑えるから。」
あにゃまるは、すでに話を引き戻す手段を失い、真っ暗なトンネルを歩いている気分だった。

t-7

9.起業


あにゃ:「その会社の後は、会社作ったんですよね? なぜ、起業を考えたんですか?」

:「それは、好きにできるからだよ・笑」
あにゃ:「起業後も、客がついてきたんですか?」
:「あにゃまる、そのさあ、「客がつく」って、やや品性下劣なじゃないか?」
あにゃ:「はい、すみません。」
:「昔からの取引先で、起業後の今も付き合いのあるところは、もちろんある。だけど、独立してから、さっきの要領で開拓したところが多いね。」
あにゃ:「つまり、自信があったわけですね?」
:「自信? あるともいえるし、ないともいえるな。要は、結果なので。それに、社会の変動があまりに大きいので。それに対して、自信があるというのは、やや不正確かな。」
あにゃ:「でも、独立するのは勇気のいることではなかったんでしょうか?」
:「勇気?あまり、いらないね。だってさ、自由なほうがいいだろ?あにゃまるだって。より自由な世界に行くって、ごく自然なことじゃないかな?」
あにゃ:「たしかに。貯蓄もあったということですかね?」
:「貯蓄なんて、ちょっとしかないよ・笑。そんなもん、一生暮らせる貯金してたら、一生おわっちゃうだろう・笑。馬鹿なこと、聞くなよな・笑。」
あにゃ:「あはは。独立当初は大変でしたか?」
:「いや、自由でよかったよ、大変というのは、ずっと大変なので。コンサルティングをやるかぎりは。」

あにゃ:「独立したことによって増えた大変さはないということですね?」
:「給料が出ないことくらいだよ・笑」
あにゃ:「でもそのころお子さんはちょうど成長期ですよね。それで独立を決意されたのはすごいと思ってしまいますが。笑」
:「そんなの、みんな一緒だから。人間である限りは。」

あにゃ:「ナルホド。それで独立してからは、自由で楽しい生活が始まったと?」
:「楽しいかはその時によるけど、自由だね。社内の会議ないし、だれからも命令されないし、
いいよ~、これ。それに、あにゃまるにも、出会えたしな!」
あにゃ:「そんなに喜ばせないで下さい笑。照れちゃいます笑」
:「こんなの、コンサルティング会社に勤め続けて、朝から晩まで拘束されてたら、絶対ないから。今は、好きな時に、ランニングもできる。一応、健康でもあるし、精神的に!」

t-8

10.趣味を生きる、しかも他者に届くほど、より深くまで

 

あにゃ:「では、趣味も充実してきたということですね?」
:「う~ん、趣味は、昔からやってるかな。趣味だから・笑。特に、将棋は、ずっとやってるし、釣りも、よくやってた。デートは、時々」
あにゃ:「いいですねぇ・笑」
:「だから、将棋には詳しいよ! その類比で、ほとんど全世界語れる。特に、ビジネスとして。
例えば、将棋のプロって、何人いるか、知ってる?」
あにゃ:「50人くらいでしょうか?」
:「ぶぶ~、150人!全員、将棋の収入だけで、生活できる!」
あにゃ:「え、そんなにですか?」

:「一方、例えばゴルフの男子プロで、トーナメントで生活できる人、何人か知ってる?」
あにゃ:「いや知らないです」
:「50人くらいだよ。しかも、あちらは肉体労働なので、活躍できる時間が少ないよ!それに、コストもかかる。遠征費、食事代、道具代、、、。
それに対して、将棋なんて、将棋盤挟んで指すだけだからね!いい就職先だろ?
あにゃ:「そうですかね?笑」
:「まあ、プロになれればの話だけどね。月に最低1-2回、将棋指せばいいんだよ。楽だろう?」
あにゃ:「それで、生活できるんですか?」

:「もちろん。もっとも、勝つための努力と勉強は、際限ないけどな・笑。勝負だから。俺たちと、似てるだろう? コンサルティングビジネスと。あにゃまる、ほんとに理解してるか?」
あにゃ:「はい、なんとか・汗。NPは勉強の一環ですか?」
:「どうかな。いろんな人がいるし、しかも、かなり優秀な人材が、いっぱいいる。あの世界自体が楽しい。いわゆる勉強するだけなら、本を読むべきだね。」
あにゃ:「コンサルティングも日々勉強ということですよね?」

:「コンサルティングは、扱うのが経営だけに、勉強し始めると、やはり際限がない。それに、この年になると、あまり勉強できなので、自分との戦いだね!

常に意識していることは、世界の中心点を見極める、というようなことだね。格好良く言うと。そこを、逃さないようにすることかな。人であれ、社会であれ、そして、人の気持ちであれ、組織の力学であれ。なにごとにも、力の中心があるので。」
あにゃ:「基本原理を見極めるということですか?」
:「そうだね。しかも、その原理はどこにも書いてないので、自分で見極めるしかない。だけど、それが結構楽しいね。」
あにゃ:「その基本原理というと、例えば女性とビジネスの話とかですか?さっきの。」
:「そうかもね・笑。しかし、どんどん世界は変わるからね。だんだんと、ついていくことができなくなる。完全についていけなくなったときは、死だね。」
あにゃ:「そのためには、日々勉強ですかね?」
:「広い意味の勉強だろうね。生きること全部という意味で。つながってるからね、すべては。バタフライエフェクトのように。あにゃまるが、熊本で発した一言は、必ず東京の人間の行動に影響を与える。それは、経験を積むと、だんだん実感を持つようになるよ。」

あにゃ:「発言力が増すということですか?」
:「いや、互いに影響を与え合うということだよ。原因であり、結果なんだよ、人がかかわりあうことは。そういう原理も、コンサルティングに取り入れてるけどね・笑」
あにゃ:「どういうことですか?」
:「一般的なコンサルティングは、問題があって対策しましょうというような、そんな提言活動だけど、それだけじゃ、決定的に弱いよね。変革する力が。」
あにゃ:「今は、そうじゃないんですか?」
:「少なくとも、わが社のパースペクティブは、違うね。
例えば、日頃あにゃまるが、なんか問題意識を持つでしょう? どんなことがある?」
あにゃ:「NPの有料記事がつまらないということです。」
:「例えば、そういうことがあるよね。それで、次にどうする?」
あにゃ:「情報収集して改善ですかね?」
:「それもあるけど、NPをひとつの組織と考えると、どうなるかな?さっきの、問題意識をどうするか?」

あにゃ:「みんなに伝える?」
:「そうだな。伝えるということは、言い換えると?なにがしたい?」
あにゃ:「みんなにも問題意識を持たせる、ということですか?」
:「そういうようなことだね。それを、共有というよね?問題意識の他者との共有。で、それは、なんのため?その先になにがあるから?」
あにゃ:「人数が増えて、改善する力が増すからですか?」
:「その通り!さすがだな・笑。あにゃまる、一応考えてるな!

とすると、何が問題かというより、さらに、重要なことがあると思わないか?」
あにゃ:「そうなった理由ですか?」
:「もっとビジネス的に。つまり、問題を他者と共有し変革する力を生み出すという流れはいつも同じだから、それをより上手くスムーズにできる仕組みがほしいと思わない?」
あにゃ:「そうですね。具体的に、どうすれば良いのでしょうか?」
:「なので、そういうことの支援が企業組織に対してできれば、付加価値があるでしょう? つまり、問題解決のプロセスを整えるだけでなく、組織を強くできる。
だから、そういう原理を含めて、コンサルティングしようとしているわけだね。
そのためには、さっき言ったような人と人との関わりの中にどんな原理が働いているかに、より鋭敏になる必要があるよね?つねに。しかも、移り変わる社会の流れも、視野に入れながら。」
あにゃ:「はい、すごく腑に落ちました!!」

スクリーンショット 2016-02-24 19.07.24

:「ただ、人と人との関わりから原理をつかみ出し、それを変革の力にするのは、言うは易し行うは難しの面があるね。」

あにゃ:「どういうことでしょう?」

:「あにゃまるも、人間関係で悩むだろう? どんな悩みがある?」

あにゃ:「はい、例えば、他人への配慮のなさを指摘されることとかです。」

田:「そう、そういうことを指摘したがる人間、必ずいるよね。それは、どんな世界のどんな場所に行っても、永久に現れるよ・笑。ただ、簡単に言うと、気にすることはない。」

あにゃ:「そうなんですか?」

:「そう。まあ、よほどのことをしてるなら、反省も必要だけど、そういう人間関係の取り仕切り役みたいな人間が言うことを、むしろいかにスルーできるかが、人生の充実には深く関係している。」

あにゃ:「それは、どういうことでしょうか?」

:「例えば、気になること、どんなことが最近あった?」

あにゃ:「はい、研究室の中でミーティングで、僕がある人に言った批判的な意見を、後で先輩に注意されたことがあります。「あまり、強く批判しないほうがいい。それが、嫌な人もいるんだから」と諭されました。」

:「なるほど。まあ、その程度のことは、丁重に拝聴しておいてもいいが、実はそこには結構大きな問題も潜んでいるね。

ビジネスでも人生でも同じだけど、何かを成そうとか、新しい価値を生み出そうとすると、必ず多少の意見対立や相克が生まれる。不必要に対立する必要はないけど、まあ仕方ないことだ。

これを、さらに原理的に考えると、そもそも人と人が関わりあうということ自体の中に、対立したり、そこまで行かなくても互いに相いれない部分って、常にあるわけだね。

で、ここからが問題だ。

人間関係の取仕切り役は、必ずその対立の側面だけに焦点を当ててくる。「だれだれさんが嫌な思いをしている」とか「君が言ったことで、誰々が悩んでいる」とか、そういう言い方で付け込んでくる。

で、そのとき見極めなくちゃいけないのは、ではそういう人間が、一体なにを生み出そうとしているのかだ。単に、周囲との小さな人間関係を守るために言っているだけではないのか。「みんな」とか「たくさんの人」とか言いながら、実は一人だけではないのか。要するに、自分の傷をなめ合うような取りに足らない小さな人間関係を大事にしたいために、特定の人間を排除して自分を正当化しようとしているだけではないか?

もしそうなら、相手にする必要もないが、嫌みの一つも言って決別すればいい。その程度の価値しかない人間だ。

しかし、人間は皆弱い。そういう取り仕切り役は人間の弱さに付け込んでグループをコントロールしようとするので、常に一定の「支持層」を持っている。

新たな価値を生み出そうと思うなら、そうした弱さを軸に集まる人間たちと戦い続けなければいけないということだね。ただ、こちらにも体力の限界があるので、戦いで消耗してはいけない。

むしろ、人と人が結びつくためのより新しい創造的な原理、新しい価値につながる人と人の共同の仕組み、そういうものを積極的に、しかもうまく提案する力を身に付けていきたいものだね。

最後に、哲学者のニーチェは、こんな風に言ってるよ。

わたし流の報復といえば、他者から愚かしい仕打ちを受けたら、できるだけ急いで賢さをこちらから送り届けるということである。こうすれば、たぶん、愚かしさの後塵を拝せずに済むだろう。F.W.ニーチェ著『この人を見よ』)」

スクリーンショット 2016-02-24 19.08.14

そうだったのか、これがビジネスか。

自分は、なんて軽薄であさましい思考をしていたのだろうと、深く反省した。

あにゃまるは、その青い頬に、一筋の朱色の熱い光が差し込んでくるのを、たしかに感じていた。

インタビュー・絵:あにゃまる

この記事にコメントをする

記事に猫ちゃんの画像掲載を希望するご主人様はNyasPaperのFacebookページでいいね!後、TwitterもしくはInstagramにて#nyaspaperをつけて画像の投稿をお願いしますにゃ

 - NyasPaper編集部のネタ