怒りを生む理不尽な評価が起こる6つのパターンと評価者が持つべき4つの心得
2016/08/13
会社や組織には評価は付きもの、そして同時に不満も付きものです。不満を感じる理由はただ一つ、理不尽な評価をされたと考えるからです。評価とは人を育てる”武器”にもなれば、人を傷つける”凶器”にもなり得る、非常に扱い方が難しい判断です。
良い評価を行うために、理不尽な評価が何故起こるのかを知り、評価者が持つべき心得について考えてみましょう。
理不尽な評価が起きる6つのパターン
事実を無視して印象で評価してしまう
評価は可能な限り、事実測定の積み重ねが大切ですが、その事実を印象で打ち消してしまう時があります。「◯◯君はいつも声が小さく覇気が無い」などという理由から、そのことに全く関係ない項目まで低評価で判定してしまうことが起こります。ほとんどの評価者は評価者訓練を受けておらず、これが評価現場の実態といえます。
無意識でえこひいきしてしまう2−4の法則
例として5段階評価で人を評価しようとする時、えこひいきしたい人の採点は4を基準に、あまり評価したくない人の採点は2を基準にして考えてしまうという”2−4の法則”が起こります。人は感情の生き物ですから、どうしても好き嫌いに左右されてしまうのは当然のことです。一緒に飲みに行く頻度、自分に対する服従度、さらに酷い場合では出身校や出身地が一緒かどうか、ということでえこひいきをしている人が多いのが実態です。
あらかじめ想定した順位に合わせて評価点を決めてしまう
とあるA〜Eの5人の評価をしなければならないとしましょう。この時評価者は、「感覚では多分、BAEDCの順だな」と予め心でイメージすることがほとんどです。
ところが、評価項目を1つずつ採点していくと、合計点がイメージの順番と違う場合が出てきます。そうなると評価者は作為的に、イメージ通りの順番となるように採点し直してしまうことがあるのです。この逆算評価は、自分の直感的な評価の方が、各論評価の点数合算評価よりも正しいという考えが根底にあるのです。
目立った行動に評価全体が引っ張られてしまう
いつもとても厳しい人が、珍しく優しかった。いつも他人に優しい人が、珍しく烈火のごとく怒り狂った。このような普段と違う例外が出た時に、それを誇張して受け取り評価が引っ張られるということが起こります。これをハロー効果と言います。DVを繰り返す男や、ドラえもん映画版におけるジャイアンはこの心理的効果をうまく使いこなしています。
「◯◯だからデキるはず」という論理の飛躍
彼はいつも勉強熱心だ→仕事がデキる
彼は一流大学出身だ→仕事がデキる
というような推論により評価を決めてしまうことがあります。普段の態度や見た目、肩書などが能力に直結するという推測は間違いではありませんが、必ずしもリンクするというものではありません。論理的な推論を行うことは良いですが、現実をきっちりと確認しておかなければ間違うこともあり得るということです。
自分自身を基準に他人を評価する
「この部分は自分に比べると差がないから5段階評価で4、この部分は差があるから2だな」と、自分自身を基準に相手との差を測る場合が往々にしてあります。これにより、本来は絶対評価をしなければならないのに、自然と相対評価になってしまうことによる間違いが起こります。
この評価方法の最大の危険性は、自分と反対の特性を持つ人物の評価が低くなりやすいということです。それにより、組織のバランスを欠いてしまうという致命的な事態になりかねません。
評価者が持つべき4つの心得
不満を最小限に抑えようという意識は不可欠
評価というものはとても難しく、誰もが満足する評価制度というのは未だ開発されていません。たとえ客観的に正しい他者評価であっても、それに納得できない感情を持つ人は必ずいるからです。それでも、評価不満率を減少させる努力を重ねることが、評価ストレスから解消される人を増やすのは間違いないことです。
客観的評価基準を明確にする
主観的評価を排除するために必要なのは、まずは明確な客観的評価基準です。そしてそれを被評価者に明示しましょう。
客観的かどうかのポイントは、評価基準にいかに定量制・定性性を持たせているかということです。数値で測れる事項なら最適ですが、それ以外にも「~ができる」「~を成し遂げた」と定性的に、第三者が見ても判断が同じになるような基準がベストです。
評価作業の訓練を行う
意外な落とし穴となるのは、評価制度を作っていれば大丈夫、と考えることです。明確な数字のみで判断できればそれも可能ですが、そのような環境というのは滅多にないのではないでしょうか。
いくら評価エラーのパターンを解析したり、どれほど優れた評価制度を導入しても、評価の仕方そのものを練習しなければ、正しい評価ノウハウにのっとって採点することは難しいでしょう。組織内でノウハウを学んでいくのも1つの手ですが、評価者に向けたセミナーなども色々な団体が開催しているので、それに参加してみるのも良いでしょう。
評価訓練は、被評価者としての訓練にもなる
評価制度を練ったり、評価の訓練を行うことには、忘れてはいけないもう1つの視点があります。それは、評価を行う人も、時として彼らの上司やマネージャーからは被評価者であるということです。
評価訓練を通して、自分たちの評価結果に対しても感情でなく理性で抑えられる意識とスキルが身に付き、組織内でプラスの連鎖を引き起こすことが出来るでしょう。