(ΦωΦ)回文むかし話・ももたろう
2016/08/16
ももたろう ……さとーさん
じじ ……回文ブルース
ばば ……モーリー
ドッグ ……手賀沼ジュン
サル ……たにけ
キジ ……赤川広幸
鬼 ……たこ寺
ナレーション……二ノ宮よう子
むかしむかし、あるところに、じじと……
「ワシゎ…シワシワ…」
(わしわしわしわ)
ばばが……
「嵐カッコィ~!! あっ! ツアー行こっかしらぁ♡♡」
(あらしかつこいーあつつあーいこつかしらあ)
住んでいました。
ある日のこと、じじは山へ芝刈りに、ばばは川へ洗濯に出かけました。
ばばが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃がドンブラコ、ドンブラコと流れてきました。
ばばは……
「かついだ! モノにしたわ桃、私! ニノもだ、いつか!!」
(かついだものにしたわももわたしにのもだいつか)
と、川から桃を拾い上げ、家に持ち帰りました。
じじは大きな桃を見るとおどろいて、こう言いました。
「ケツ見っけ!」
(けつみつけ)
そして、さっそく桃を食べようと切ってみると……
「寄るな! 人間になるよ!」
(よるなにんげんになるよ)
なんと、中から元気な男の赤ちゃんが飛び出しました。
子どものいなかった、じじと……
「出たで!! ガキが出たで!!」(でたでがきがでたで)
ばばは……
「ニノ似!! この桃の子、ニノ似!!」(にのにこのもものこにのに)
と、大喜びです。
桃から出てきた赤ちゃんを、じじとばばは“ももたろう”と名付けました。
ももたろうはスクスクと育ち、やがてたくましい男の子になりました。
ある日、ももたろうがこう言いました。
「猿や手下いれば、青鬼め、島行き、戒めに大暴れいたしてやるさ!」
(さるやてしたいればあおおにめしまいきいましめにおおあばれいたしてやるさ)
ばばに作ってもらった、きび団子を手に、ももたろうは鬼ヶ島へと出かけていきました。
旅の途中で、ももたろうはドッグと出会いました。
ドッグはももたろうに……
「なんも、いらんぜ……あ、全裸慰問な!」
(なんもいらんぜあぜんらいもんな)
と言いました。ももたろうは言われたとおりにし、その代わりにドッグを家来にしました。
さらに歩くと、今度はサルに出会いました。
サルはももたろうに……
「以下、サルもま、連れてって! 列守るさかい」
(いかさるもまつれてつてれつまもるさかい)
と言いました。ももたろうは言われたとおりにし、その代わりにサルを家来にしました。
さらに旅をつづけると、次はキジに出会いました。
キジはももたろうに……
「予定と指示書出しな。やって良いが人事がいい。徹夜なしだよ? 指示しといてよ?」
(よていとしじしよだしなやつていいがじんじがいいてつやなしだよしじしといてよ)
と言いました。ももたろうは言われたとおりにし、その代わりにキジを家来にしました。
こうしてドッグ、サル、キジを家来にしたももたろう。ついに、鬼ヶ島へとやってきました。
鬼ヶ島では鬼が、近くの村から盗んだ宝物やごちそうを並べて……
「イェイイェイ! 得た海の幸さ!! 呑み歌え!! イェイイェイ!」
(いえいいえいえたうみのさちさのみうたえいえいいえい)
と、酒盛りの真っ最中です。
ももたろうは今だとばかりに……
「ダメだ! 撤退なんか、いかん! 泣いたってダメだ!」
(だめだてつたいなんかいかんないたつてだめだ)
家来たちに号令をかけました。
ドッグ……
「えらく臭う棒! 鬼! 喰らえ!」
(えらくにおうぼうおにくらえ)
サル……
「ウ~~素手でウキキキ! 利き腕です~~う!」
(うーすででうきききききうでですーう)
キジは……
「死ぬ気で猿め、殺れ鬼…俺、辞めるさ。出来ぬし…」
(しぬきでさるめやれおにおれやめるさできぬし)
一斉に鬼におそいかかりました。ももたろうも刀を振り回し大あばれです。
とうとう、鬼は……
「バタン!!…あ、カニ…俺こんなん泣く(シクシク…)。なんなんこれ、鬼かアンタは!!」
(ばたんあかにおれこんなんなくしくしくなんなんこれおにかあんたは)
と、ももたろうたちに手をついてあやまりました。
鬼から取り上げた宝物を手引き車いっぱいに積み、ももたろうはドッグ、サル、キジと共に家に帰りました。
じじとばばは、ももたろうの元気な姿を見て大喜びです。
そして三人は、その後もずっとしあわせに暮らしましたとさ。
おしまい