新国立競技場「白紙」の責任を擦り付け合う7人の侍
2016/08/13
世の中にはニ種類のスリスリがある。猫によるスリスリと、人間によるスリスリだ。
猫によるスリスリは、マーキングと呼ばれ、猫の頬や顎にある分泌腺から出る臭いを対象に擦り付けることで自分のもの(責任下)であることを主張します。
一方、人間によるスリスリは、責任を擦(なす)り付け合う”責任転嫁”と呼ばれる行為です。例えば、最近では、東京オリンピックの新国立競技場の計画が白紙に戻った責任の擦り付け合いが繰り広げられております。擦り付け合いをする方々が所属する組織は、日本オリンピック委員会、東京都、日本国の3つの組織に分かれます。
日本オリンピック委員会関係者からは、五輪組織委員会会長の森喜朗氏、新国立競技場国際デザインコンペ審査委員長の安藤忠雄氏。東京都からは、都知事の舛添要一氏、前都知事の猪瀬直樹氏、前前都知事の石原慎太郎氏。日本国からは文部科学大臣の下村博文氏、内閣総理大臣の安倍晋三氏の計7名です。
早速ではございますが、日本を代表する大の大人7名による責任の擦り付け合いを御覧ください。
森喜朗→安藤忠雄、石原慎太郎、安倍晋三
森「晴海に国立競技場を移そうとしたのは、石原慎太郎氏と安藤忠雄氏です。建築家ザハ・ハディド氏のデザイン案が出てきた背景なんて知らないし。また、2013年9月のブエノスアイレスのIOC総会で”他のどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアム”と演説したのは安倍晋三氏でしょ。」
安藤忠雄→安倍晋三、下村博文
安藤「キールアーチに追加で700億円の費用がかかることも新聞で知ったし、僕の仕事はデザインを選定するまで。その後は何もタッチしていなく、この件のリーダーは文部科学大臣か、総理大臣か…」
舛添要一→安倍晋三、下村博文
新国立競技場見直し:6月29日、下村大臣は総経費2520億円、2019年5月までに完成という政府「最終案」を公表した。その後の政府、JSC、組織委員会関係者の発言を検証するとよい。「変更ない」、「国際信用を傷つける」、「最善の案」などだ。主張の整合性よりも内閣支持率が優先か?
— 舛添要一 (@MasuzoeYoichi) 2015, 7月 17
新国立競技場は「国立」であり、その建設の責任者は、JSC・文科省・政府であって、東京都ではない。その責任者である文科大臣が、安藤忠雄氏や新国立競技場のデザイン選考について、部外者のような、まさに当事者意識の欠如したコメントをされるのは、私の理解を超える。
— 舛添要一 (@MasuzoeYoichi) 2015, 7月 12
猪瀬直樹→森喜朗、安倍晋三
猪瀬「東京オリンピックは、要するにニッポンオリンピックですから。都立についてのお金は東京都が全部払うわけですけど、国全体についてのお金は安倍首相と、五輪組織委員会会長の森さんに責任があります。」
石原慎太郎→ゼネコン
石原「晴海につくろうとは言った。安藤君にデザインを頼むとも言った。ただ、これがいくらかかるかまでは、デザインを請け負ったゼネコンが決めることだから、安藤さんだっておおまかなことは分かるだろうが、彼の責任ではない。恐らくゼネコンはせせら笑っていると思う。」
安倍晋三→民主党
安倍「2012年11月の民主党政権時代にザハ案でいくということが決まったが、これは我々が政権につく前のことだ。」
下村博文→安藤忠雄
下村「安藤氏には、なぜザハ・ハディド氏案を選んだのか?堂々と自信を持って、発言してもらいたい。(当初総工費の)1300億円がどの程度、デザインをする人たちに伝わっていたのか?値段とデザインを別々にしていたとしたらズサン。」
新国際競技場の建設費予算が当初の1300億円から2520億円に膨れ上がった責任。膨れ上がったことで建設が非現実的となり、計画が白紙に戻った責任。ザハ案の撤回により13億円の監修代に加え10億~100億円程度の違約金を支払う(可能性)責任。
取るべき責任は複数あるにも関わらず、日本を代表する大の大人7名の誰もが自らの責任を認めないのはなぜでしょうか?もちろん、責任の大小はあるでしょうが、東京オリンピックの成功に向けて各々の重責を任せられたリーダーですので、失敗を他人のせいにする発言でなく自分のせいににする発言を期待します。それともあれですか。あなた方政治家を国民が選んだという意味で、
投資は自己責任で
ってやつですか。