『糖質制限の真実』を読みました
2016/08/13
『糖質制限の真実』という本を読みました。この本はわずが800円ですが、糖尿病専門医が一流医学誌の最新のエビデンスに基いて執筆したという時点で800円以上の価値があります。
ただし、読み物としての価値はありますが、実生活に役に立つ価値ある情報を提供しているとは決して思えません。
なぜなら、この本に書いている内容で明日からの行動に活かせることは「ご飯、果物などの糖質は1日130グラムから70グラムに抑え、残りは肉、卵、ナッツなどを食べましょう」ってことだけですから。
ですので、糖質制限について既に理解し、納得し、実践している方であればこの本を読む必要がありません。もし読むべき方を挙げるとしたら
1.脂質、タンパク質でなくなぜ糖質なのか?
2.そもそも糖質ってなに?
3.1日の糖質摂取量がなぜ130グラムから70グラムなのか?
上記3つの疑問をお持ちの方です。この問い対する解がこの本には記載あり、かつその解が科学的根拠に基づいた解ですので納得感が違います。
しかし、この納得感を得るためだけにこの本を手に取る必要はありません。なぜなら、この問いに対する答えを、今から僕が書くからです。
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脂質、タンパク質でなくなぜ糖質なのか?
糖質が、癌の発症率を増加させる糖尿病の発症率を増加させる原因である血糖の値を乱すからです。血糖値の急激な上昇や、頻繁な上下変動は、糖化反応や酸化ストレスを引き起こし、それが細胞のガン化につながります。
一方、脂質、タンパク質は、インスリンというホルモンの分泌を促す消化管ホルモンの分泌を増加させます。その結果として、血糖の値を正常化させますので、糖尿病の発症率を減少させ、癌の発症率を減少させる可能性があります。
上記論文では、糖質である白米のみを食べる人、白米とタンパク質を食べる人、白米とタンパク質と脂質を食べる人、白米とタンパク質と脂質と野菜を食べる人の4郡に分けて血糖値の推移を比較しましたが、血糖値の上昇が最も高い郡は白米のみを食べた郡であることが判りました。
この結果で驚くべきことは、白米のみを食べた郡はカロリー摂取量が他の郡と比べて少ないにも関わらず、血糖値を最も上昇させたことです。つまり、「血糖値」に影響を与える唯一の栄養素は糖質であることが示唆されました。
以上のように、「血糖値」への影響に基いて栄養素を比較すると、脂質、タンパク質に比べて糖質は、体に悪い影響を与えます。
そもそも糖質ってなに?
糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたエネルギーのことです。三大栄養素の1つである炭水化物はよく耳にしますが、炭水化物は下記のように食物繊維と糖質から構成されています。
食物繊維と糖質の違いは、摂取後に消化吸収されることでエネルギーになるかどうかで、食物繊維はエネルギーになりませんが、糖質はエネルギーになります。
また、同じ炭水化物でも糖質が「血糖値」に悪影響を与えるのに対して、食物繊維は「血糖値」の上昇を抑制する働きがあることが判っています。
以上のように、「血糖値」への影響に基いて糖質と食物繊維を比較すると、同じ炭水化物でも体に与える影響に違いがあることがわかります。
1日の糖質摂取量がなぜ130グラムから70グラムなのか?
ケトン体が健康にもたらすリスクとベネフィットを考慮した時、糖質1日130グラムから70グラムという値が最も健値だからです。
ケトン体とは、ブドウ糖に代わる脳と赤血球の唯一のエネルギーとされており、一般的にあればあるほど良いとされています。しかし、エネルギーの主役はあくまでもブドウ糖であり、糖質制限をしていない人間の体内ではケトン体の血中濃度が低く保たれていて、エネルギーにはなりません。
このケトン体の血中濃度は、糖質を制限することで高くなります。糖質を制限するとブドウ糖が減り、インスリンの血中濃度が低くなり、その結果として肝臓が脂肪酸を使ってケトン体を作り出すからです。
たしかに、ケトン体は脳の認知機能を正常化する働きなども報告されており、出れば出るほど健康に良い気がします。しかし、ケトン体の血中濃度が高くなり過ぎると、体が酸性に傾くことでケトアシドーシスという命に関わる意識障害を発症させます。
以上のように、ケトン体のリスクとベネフィットを天秤にかけた時、ケトン体のリスクを上回るベネフィットを得られる値が、糖質1日130グラムから70グラムという値です。
糖質の摂取量をこの範囲内に収めると、糖質の血糖値への悪影響も抑えられ、かつケトアシドーシスを発症させない程度のケトン体を創り出すことが可能です。
以上、『糖質制限の真実』の要約でした。